イノベーションのロスタイム

新規事業創出に関わる30代中盤・元外資コンサルが、仕事とそれにからめた遊びの話をします。

その孤独は金になる。心のスキマを埋める仕事とは。

ビジネスはスキマを埋めていく

ビジネスの多くは余ったスキマを埋めていくものです。

この世には、何にも使われずに余ったままの空白が、手つかずに放置されている。
ビジネスモデルの多くが、そんな余った空白を埋めていくことで成り立っていることは周知のとおり。
 

余ったスペースや車のシェアリング(Uber,Airbnbなど多数)

余った時間を再利用する(居酒屋の昼営業、ホテルのデイユース化など多数)

余った人を活用する(シルバー人材の活用など)

空白はあらゆる稼働を上げることによって満たされていく。
知恵という知恵を使って、もう埋められないスキマはないんじゃないかというくらいに。
 
・・・という会話を、先日個人コンサルタントとして独立して20年になる社長としていたんですね。
自分にとっては父親くらいの年齢の方です。
 
で、話はコンサルタントの歴史にもつながりました。
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・コンサルの機能も変化・進化している。
20年前は「先生業」でよかった。
やがて先生であること、すなわち一定の知識があり、一定の方向に主体的にリードすることは当たり前に求められるようになった。
 
・そして10年前くらいからは、先生であること以上に「経営企画室のスキマを埋める」ことが優先された。
経営企画室の若手~中堅を務める世代が、就職氷河期と一致していたことで圧倒的に層が不足していたことを背景に、経営企画業務の多くが外注されており、いまもその傾向は続いている。(大手コンサルでなくとも、個人コンサルはこの業務で結構食べていくことができた)
 
・そして現在、ありとあらゆる業務での人手不足から、コンサルは先生であることはもはや求められず、人材派遣業であることと同義になりつつある。それは自分としては面白くないため、派遣要素のある案件はあまり受けないようにしている。
(年齢的にも、作業ベースになりがちな高級派遣業はしんどいものがある)
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・・・ここまではよくあるコンサル論だが、なるほどと思ったのは以下の点だ。
 

彼が長年コンサルタントを続けていられる理由とは 

・それでも自分がコンサルを続けられているのは、社長や経営企画部部長の「心のスキマ」を埋めているから

社長の心のスキマとは何だろう。なんだか、指を「どーん」と突き出すセールスマンが思い出されるが・・・
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もちろんシンプルに、社長やリーダーは孤独だからという理由を挙げることは簡単だ。
 
多くの社長は、その心中を軽々とほかの人に話すわけにはいかない。社内の腹心にだって話せないし、家族や社外の友人に話したところで、どこから漏れてしまうかわからないし、そもそも理解もしてもらえないだろう。
社長はただ秘密の話ができればいいというものではない。
そこに何らかの理解があり、そして秘密の話を吐露することによって何らかの発見がなくてはならない。
 
すなわち、社長の孤独は明文化され、評価を与えられる必要がある。
 

 社長の孤独へのサービス・ベンダーはだれか

それでは社長の心のスキマを特定し、それを言語化する、あるいは社長が言語化するのを手伝ってあげる職業とはなんだろうか。
 
彼は断言する。
社長の心のスキマを埋められるのは、占い師と、愛人と、コンサルだけやね
 
この列挙が漏れのないものなのか私にはわからない。だけど、なんか網羅されている気はする。(愛人はなんか満たしているものが違う気もするが・・・)
「で、仕事の細かい話が合わせられるのはその中でもコンサルだけだから、自分は重宝される。その辺の勘所が分かってないコンサルがとっかえひっかえされるのを見てきた」
 
だとすると、コンサルが付加価値を得ていくプロセスは以下の2点が主流になるのかもしれない。
・高級派遣業者として徹し、クライアントの経営企画業務を上位互換として実施する
・クライアント発注者の孤独の正体を特定し、それを言語化する必要不可欠なパートナーとなる
 
後者は、いわば「専属の教誨師」になることと言い換えられるだろう。
 
コンサルは、カウンセラーや怪しげなヒーラーたちと競合していく方向性があるともいえる(それをコンサル自身が望むかは不明だが・・・)
芸能人が整体師にいいように操られるニュースも、同じ構造なのかもしれない。
 
ただ厳然とそこには二人の人間がいる。
一人は満たされない孤独とスキマを抱えている。
もう一人は、それを埋めることができる、自分だけがそれを理解して聞いてあげられるという顔をしている。
 
この2者がマッチングする限り、その孤独には値段が付くのだ
 

自分の仕事は、誰の孤独を埋めている? 

おそらく自分も、無意識にしている消費のうちの多くは孤独を埋めようとしている。

自宅に直行せず、サウナや漫画喫茶に寄ってしまう。同僚ととくに名目無く飲んでしまう。kindleで漫画をまとめ買いしてしまう。
そこには、仕事でも家族でも埋まっていない無自覚な孤独があるのかもしれない。
(無駄遣いを格好いい言い訳でごまかしているようにも見えるが・・・)
 
ただ、孤独の正体が分かれば、そのプライシングはおのずと可能になります。
ビジネスは孤独に値段をつけるところから始まるのかもしれません
私は、誰の孤独を救済しているのだろうか?・・・を振り返ってみたいと思いました。
 
孤独について―生きるのが困難な人々へ (文春文庫)

孤独について―生きるのが困難な人々へ (文春文庫)

 
 ↑中島義道の名著。