読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

イノベーションのロスタイム

新規事業創出に関わる30代中盤・元外資コンサルが、仕事とそれにからめた遊びの話をします。

消費者に聞け!Makuake×常陽銀行の提携の意義

イノベーティブなニュース

フィンテックといえば与信管理みたいになりつつありますね。

与信管理の場合は、新規事業として重要な「どんなパートナーにどんな力を借りるか」が明快だからだと思います。

www.makuake.com

 新規事業ってけっこう自前主義に陥りがちなんですよね。

じゃあM&Aでどんどんリソースと売り上げ拡大だ~とするのは一見簡単そうで難しいです。資金力、目利き力、そして合併・提携後の統合する力が問われるからです。

だから多くの企業は、パートナー=提携先から力を借りることで、新規事業を成り立たせようとします。

コア業務をアウトソースする意義

それにしても、銀行にとって与信とはコア中のコアの業務ではなかったのでしょうか。

銀行に対する悪口は多々ありますが(人の情けもわからない、企業の潜在力も見抜く洞察力もないサラリーマン、というイメージって半沢直樹とかも元凶ですね)、銀行員の一人一人は結構きちんと企業を、そして社長や専務のスキル、人柄をきちんと見ているものです。

以前、某地銀の方が、とある貸付(財務状況は△な会社)を評して、「社長に貸しているというよりは、あの人を支えてる奥さん(専務)の接客スキルに貸しているようなもんだね」とおっしゃっていたこともあります。

f:id:kenshopro:20170201155805j:plain

(こんな人だけではありません・・・)

財務状況や従業員の体制、トップの資質を総合的に判断し、「与信」をする…すなわち、貸倒るリスクをとってお金を貸すという、銀行にとってはアイデンティティーに等しいコアの部分ですね。

上記プレスリリースには、クラウドファンディングで調達できた額と同額を融資するとあります。

クラウドファンディングでの資金調達額(100万円以上・500万円以下に限り、最高融資額は500万円)と同額をクラウドファンディング終了後に融資することが可能となる、国内の金融機関で初めて施行される制度となります。本制度により、常陽銀行は企業に対する一般消費者の反応に根ざした融資をすることが可能となります。(上記URLより)

これはつまり、銀行が事業の目利き部分(サービスニーズのありやなしや)について、外部の基準を導入することと言っているわけです。

サービスの目利きは消費者にしかできない

これは、いくら銀行でも事業性の判断に限界があると認めているわけですね。

確かに昨今のベンチャー百花繚乱のなか、ヒットするのかしないのかさっぱり判断できないサービスはたくさんあります。

それを「こんな珍奇なサービスがヒットするとは思えません」といって融資せず、他行が融資して大ヒット&優良顧客化なんてしたら目も当てられない。

別に銀行に限らず、コンサルティング会社も、ベンチャーキャピタルも、あるサービスがヒットするかなんて全く分からないんですよね。(絶対ヒットしますよ!なんて言ってるコンサルがいたら、よほど自信があるか詐欺かのどちらかです)

 

だからこそクラウドファンディングは、新規事業のビジネスモデルの検証段階によく使用されているんだと思います。

イメージでしか語れないものに与信はできない

手間とお金を使ってそのサービスを本当に使うのか、消費者の心のひだに触れるサービスなのか、という点は、当のターゲット消費者本人でなければまったくわからないのです。

銀行員自身にも想像がつくサービスならまだしも、「20代女性をターゲットにした新しい有効成分の入った超高級美容液を提供する店舗経営」(例)なんて言われても、この世にないものですからイメージでしか語れません。

つまり「そんなの誰も買わんでしょ~」「うちの奥さん(※事業のターゲット外)に聞いたけど、そんな高いもん買わんって言ってましたよ」なんてネガティブな会話になる。

そして、イメージでしか語れないってのは一番危険なんですね。

じゃあアンケートとるか、といっても、この世にないものを「買う」という回答が多かったからと言って実際に買うかはわかりません。

 

ところがCFの募集者はお金と申し込みの手間の両方を支払ったうえで、そのサービスに興味を示している。すなわち、サービス成功の確度が高く、融資実行および回収の確立が上がる。ここでは見込み顧客獲得と、与信の両方が一気に解決しているんですね。

本提携は、銀行の与信というコア業務を「消費者に聞く!」という視点から外部化するという意味で非常に意義深いものと考えます。

f:id:kenshopro:20170201161858j:plain

今後のクラウドファンディングは増えるだろうけど・・・

今後もクラウドファンディングそのものも拡大するでしょうし、クラウドファンディングをベンチマークにしたこの記事のような関連サービスも増えることでしょう。

懸念事項があるとすれば、このクラウドファンディングという形式それ自体が何らかのテクニックやスキームでジャックされる・悪用される可能性があるのではというものです。

ただ、そこは集合知のごまかしの利かなさでカバーされるかと思います。

 

今後、成功事例・失敗事例多々出てくるかと思いますがしっかり見ていきたい業界ですね!