イノベーションのロスタイム

新規事業創出に関わる30代中盤・元外資コンサルが、仕事とそれにからめた遊びの話をします。

「スパースモデリング」と「イシュー思考」

「スパースモデリングを意識して仕事してみたら?」

この間先輩から受けた指摘が、面白い表現だったのでまとめてみました。

 

その時はけっこう半期の振り返りみたいな感じで、長めに指摘をもらってたんですね。

概略すると、私の改善点というのは以下にまとめられる。

 

・なにかを考察するにあたり、十分なデータをそろえようと「しすぎる」

 

これ、痛いところ疲れたというか、思い当たる節があるんですよ。

自分の仮説構築に自信がないから、まずデータをがさっと眺めて、何かいい仮説はないかという探し方をしてしまう。

 

でも先輩に言わせれば、お客さんの課題や、その解決方法を考えるうえで実はそんなに十分なデータはいらない。所与の少ないデータからでも十分仮説は構築できるだろうし、裏付けがどうしても必要な時だけデータを要求すればいい。

そのほうが時間も手間もかからず効率が良い。

 

…そうした内容の指摘を、先輩は次のように言ったんですね。

「スパースモデリングを意識して仕事してみるといいよ」

「…はい(何ですかそれは?)」

 

スパースモデリングとは「少ないデータから本質を抜き出すこと」

 

japan.zdnet.com

 

詳しくは上記の記事を読んでほしい…というか、かなり難しい記事で実は半分も理解できなかったのだけど、自分の理解はこうです。

・スパースモデリングは、ごく少ない、スカスカの(=スパースな)データで、何らかのモデルを作ろうとする行為である

・データからどのような示唆を得るか、という目的に立った時に、必ずしもデータが立地である必要はなく、必要最小限のデータでそれを達成しようとすることが重要である

(統計の専門家に怒られそうな要約だけど、仕事訓ということで許してほしい)

 

面白いなとおもうのが、これって「イシューからはじめよ」でも同じことが書かれてたんですよ。

 

アプローチ① 変数を削る

関連する要素が多過ぎて、結局のところ何が肝心の要素なのか、何が決め手なのか、そもそもそうしたものがあるのかすら見えないことがある。

「世の中の消費」や「自然における各生物の役割の関係性」などのテーマがその典型だ。  たとえば、「ツイッター」「フェースブック」などのSNSサービスが商品購買行動にどのように影響しているか、それはどんな数字を見るとわかるのか、普及にあたっての閾値のような数字が存在するのか、それらはどのようにかかわり合っているのか、そうしたことを理解したい、と仮定しよう。

すると、あまりにも要素が多く、すべての相関を取るようなアプローチは難しいことがわかる。仮に運よく数字を取ることができて何らかの情報の経路が見えたとしても、多くの要素が関連し合っていて、誰をも納得させるような検証はできないだろうことも想像できる。

このような場合は、「変数を削ることができないか」と考える。要素を削る、もしくは固定するのだ。たとえば、「商品購買行動」ではあまりに広過ぎるので、商品分野を「デジタル家電」のみに絞る。それでも広ければ「デジカメ」「プリンタ」など、さらに検討の対象を絞り込む。こうすると変数がひとつ減る。次にSNSについても、「ミニブログ・ブログ・交流サイト」などにグルーピングする。

(強調箇所は引用者)

 

イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」

 

 

この「イシューからはじめよ」は、論点設計が明確であれば、生産性は100倍以上に高まる、という素晴らしいメッセージを世に広めた、いわば昨今の「生産性議論」の先駆けとなる名著ですね。

 

今回私が先輩から言われた「スパースモデリングを意識したら」という表現も、同じことを別の表現で言ったに過ぎないのかもしれません。

 

ただ、「しっかり論点設計しなさい」だと、表現として当たり前すぎて「はーい(知ってます)」みたいな気のない返事で右から左に通り過ぎてしまう。

 

先輩たるもの、わかりきった当たり前のことを後輩に伝える際に「スパース」なんていうキャッチーな、引っ掛かりのある表現を使うことも芸の一つなのかもしませんね!

 

表現力のレッスン

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